血の報復戦 田岡一雄の死、一和会との分裂 そして大抗争
1985年6月15日刊行 三一書房 定価1000円(もしくは1365円)
竹中正久は甘美なるものへの期待のただ中で息の根を止められた。白いベンツで地を走り、エレベーターホールまで歩いて来た彼は、中に舞い上がる寸前だった。土曜日の夜、大阪吹出市のマンション「GSハイム第二江坂」五階508号室、そこに愛人とともに過す、心なごむ談笑と性愛の一夜が待っているはずであった。 難産のはてに生まれた山口組四代目だったが、死ぬときはあっけなかった。前年七月十日に襲名して以来、わずか半年と十六日。昭和六十年一月二十六日午後九時十五分すぎ、竹中は体内に打ち込まれた二発の銃弾によって、翌二十七日、無惨に五十一年の生涯を閉じた。(本文冒頭部より)
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