溝口敦の仕事
   

溝口敦の斬り込み時評 No.524(2026年3月9日)
5199万円で競売に賭けられる神戸山口組、井上組長の自宅

 神戸山口組・井上邦雄組長の神戸市北区の自宅が強制競売の入札に掛けられることになった。自宅の土地は約2200平方メートル、建物は木・鉄筋コンクリート造りで、売却基準価格は5199万円という。

 売却決定は4月14日に設定されているようだが、もし誰かに落札されるとなれば、井上組長は「三界に家なし」状態になる。

 そうでなくても神戸市花隈町の山健組本部事務所は神戸地裁により使用差し止めが決定しているし、六代目山口組側の中田浩司・山健組組長は井上組長などの名義になっている前記の自宅や山健組関連施設の所有権をめぐって提訴している(24年9月、一審で中田側敗訴)。

 兵庫県警は山口組の分裂抗争は依然、継続中と見ている。よって井上組長は自由に出歩けず、穴籠もりするためだけにも堅固な住まいや事務所を必要としている。

 現状はまことにお気の毒というほかないが、それもこれも民法や暴対法の組長の「使用者責任」のおかげで、自分が借金したのでも、口約束したのでもない債務の返済などで、配下や関係者の尻拭いをさせられているからだ。

 事件の根っこにある要因は神戸山口組の入江禎・元副組長が率いた二代目宅見組の幹部が絵を描き、山健組や井上組長を巻き込む形で融資詐欺を働いた事件にある。しかし、今や井上組長と入江副組長は袂を分かち、敵対関係にあるから、井上組長とすれば踏んだり蹴ったりの事件に見舞われたことになる。

 組員たちからの上納金で労せずしてたっぷり食えたはずの組長というトップが現状、自分の居場所さえ失いかねない。

 使用者責任がやくざを傷めている事件としては他に住吉会・小川修司会長ら7人の窃盗事件もある(既報した)。

 関功前会長が組員たちが犯した特殊詐欺事件で被害者から賠償を求める裁判をいくつか起こされたため、生前、所有財産を親族らに散らし、自分は財産を持たない状況をつくった。

 が、裁判は次の会長になっても継続される。小川現会長としては組長の使用者責任裁判で負けた場合、ないカネは払えないと居直ることはできない。そのためにも、これは親族のカネでなく組のカネだ、と窃盗じみた行為に走らざるを得なかったのだ。

 貧すれば鈍する。やくざたちは下っ端ばかりか今や首脳部まで迷走を始めた。