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溝口敦の斬り込み時評 No.522(2026年2月2日)
住吉会幸平一家が目立って特殊詐欺に手を出している

警視庁は1月15日、住吉会幸平一家の組員が特殊詐欺に関わることが多いとして、同一家特別対策本部を設置した。
たしかに幸平一家は早い時期から関東連合の出身者など半グレ系の若い組員を抱え、またやくざの世界では当時としては珍しいほど特殊詐欺に手を出す組織として知られていた。
警視庁によれば特殊詐欺事件で検挙した暴力団組員のうち4割以上が幸平一家とその傘下組織の組員だという。特殊詐欺で一家の懐は豊かになったのか、幸平一家の組員は800人に及び、住吉会の中で異様なほどの増加ぶりを見せていたという。
暴力団全体ではシノギに窮し、今では組員が増、それも若い組員が増などという景気のいい話はまず聞かないから、それだけ幸平一家にとって、特殊詐欺はおいしいシノギになっていたのだろう。
しかし、暴力団にとって特殊詐欺が両刃の剣であることを忘れてはなるまい。
一般に詐欺による被害は回復しづらい。詐欺に遭ってこうむった損を取り返そうと思えば、さらに損害を重ねるだけということは、世間通の人はたいてい知っている。
まして特殊詐欺は騙した当人と顔を合わせたわけではなく、名刺の交換もせず、単に電話の音声だけで騙されたのだから、誰が加害者なのか、分からないケースが圧倒的に多いのだ。
しかし、その詐欺に暴力団組員が一人でも関係していれば、話は別になる。被害者にとって暴力団組員は救いの神になり得るのだ。
なぜか。暴力団の組長に使用者責任を問えるからだ。民法715条と暴力団対策法は、雇用関係がなくても、実質的な指揮・監督関係にある組長に対し、組員の違法行為に関する賠償責任を認めている。被害者は直接組長に賠償を請求できる。
しかも暴力団組長はたいていの場合、上納金システムによりカネを持っている。そのカネが組員の詐欺によるカネか否かに関係なく、持っている以上は被害者に裁判所が認めた請求額を差し出さなければならない。
しかも暴力団相手に使用者責任を問う場合、ほとんどが訴えた被害者側の勝訴になるのだ。
住吉会はともかくとしてたいていの組が、組員が特殊詐欺をシノギにすることに難色を示しているのは、組員が特殊詐欺の下っ端役であっても、逮捕されれば、トップが使用者責任を問われ、損害賠償する憂き目に遭うからだ。上の者が犠牲になるのは叶わんというわけだろうが、どうせ上層部はろくでもないカネを貯め込んでいるのだ。上からは大いに取れと言いたい。

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