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溝口敦の斬り込み時評 No.392(2020年3月30日)
売春一般化で女依存型ヤクザも激減

少し前まで「女依存型」のヤクザがいた。「家族依存型」などと同じく末端ヤクザの生活パターンで、いわば女のヒモとして生活する。かたわらヤクザに所属して下っ端をやる。
日本経済が新型コロナウイルスで沈滞しきっている今、生活パターンは原始や基本に戻るはず。さぞかし女依存型ヤクザが増えたか、と思ったのだが、現実は逆だった。ヤクザは女からも見放されている。
都内のキャバクラオーナーが言う。
「女の子はカネがちょっと貯まると、韓国の美容外科に行って鼻の肉を削ぎ、ピノキオの鼻みたいに鼻梁を尖らせる。あるいは顎のエラを削って小顔になる。こんなのばかりです。
中にはホストクラブのホストに嵌まり、男の売上げ順位が決まる夜には、二千万、三千万と詰め込んだキャリーバッグを引っ張り、自分の男を一位にしようとする子もいる。
だけど、相手の男はたいてい若い半グレで、ヤクザというのは聞いたことがない。ヤクザは年寄りばっかりだから、彼女たちにとってはすでに死語です。
男に貢ぐ子はソープやデリヘルに多いけど、何しろ客と「濃厚接触」する商売だから、今じゃ客の方が気にして女は茶を碾いている。デリヘルも同じで、この不景気で店が潰れ、私なんかのところにも、働かせて、とメールが来る。
彼女たちはマッチングアプリで男を捜してますけど、せいぜい1発1万〜3万の客しかいないから、5万〜10万の援交相手を紹介して、と言ってくる。だけどどんなべっぴんでも、今どきそんな太客はいません。
とにかくヤクザに貢ぐ女はいません。ホステス上がりのヤクザの女房が父ちゃんの危急を助けるため、キャストとしてまた女を売ろうたって、店があんたみたいな年寄りは要らないって断ります。
そのヤクザが金貸しで女に返せないぐらいの借金を背負わせ、風呂にでも沈めれば別だけど、今じゃヤクザは女に依存できないんです」
こうして「女依存型」ヤクザは死滅した気配がある。底流にあるのは男に管理されない自前の売春の一般化だろう。若い女の多くは自分の考えと損得で体を売ろうとする。売春は自分のためである。
こうした考えはカタギの若い女性にも広がり、男に食事をおごられても、今では食事に費やした時間を時給や謝礼の対象と考える。彼女たちは好きでもない男との会話をウザいと考え、「一飯の恩」などまるで感じない。
そればかりか早い話、自箸で寿司をつまみ、「これおいしいよ」と女の皿に移そうものなら、彼女らは不潔、屈辱と怒り出す。
滅多な女とは食事しない方がいい。ヤクザではないが、女はもう男を相手にしてくれなくていい。

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