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溝口敦の斬り込み時評 No.537(26年9月28日)
スマホの特殊詐欺摘発には遠隔操作の傍受が必要

インターネットを利用した詐欺の被害額は今年上半期に1755億円と警察庁が発表した。1年間の被害額が過去最高だった2025年は年間3184億円だったから、その上半期と比べれば45%も増加し、今年1年の被害額が過去最高をマークするのはほぼ確実と見られる。
インターネット利用とはいえ、特殊詐欺犯の主要な武器はスマホである。スマホにより被害者候補に電話も架けるし、SNNSも利用する。メールでカネや暗号資産、金インゴットの拠出を働きかけもする。
したがって警察庁の有識者検討会が匿流使用のスマホの通信内容を遠隔で入手する新たな制度を早期に入手すべきだとする提言を警察庁に提出したのも(24日)いわば当然といえる。
実際、彼らの通信を傍受することなしに特殊詐欺を専業とする匿流の中核に切り込むことはできない。わずかな例外は、外国の軍や警察が匿流のアジトに踏み込み、そこで架け子が集団的に日本の被害者候補に架電し、詐欺を働いていた容疑で彼らを拘束、日本の警察に知らせて身柄を日本に送還する場合だけだろう。
日本の警察が外国の協力なしに、これまでできていたことといえば、被害者候補の「騙されたフリ」作戦で、のこのこ集金に来た「受け子」を警察が待ち受け、逮捕するぐらいだった。受け子は匿流グループからすれば外部要員であり、切り捨て要員だから、彼らが逮捕されたところで中核部隊は痛くも痒くもない。
どうしても匿流のアジト(そこで架け子が集団的に被害者からカネを出させるべく電話やネットで働きかける作業場)を見つけ、捜査隊が踏み込み、彼らを一斉に逮捕する以外に中核部隊を壊滅する方法はない。
彼らのアジトには20〜50代の男(と、まれに女)が多数集まるから目立ち、どうしても閑静な場所より人混みの多い繁華街にアジトを選ぶことになる。
賃貸を仲介する不動産屋がよほど綿密に借り手から詳細を聞き出し、疑惑を抱いて警察に通知すれば、日本での逮捕も可能だろうが、不動産屋も商売だから、自ら顧客を絶つような真似はしない。
スマホへの遠隔的な解析は一般国民に対する多くの弊害がすでに指摘されているが、かといって、特殊詐欺と匿流の増加をこのまま放置しておくわけにはいくまい。被害額はこのまま行くと、数年のうちに1兆円の大台に乗るかもしれない。すでに暴力団による被害額をはるかに超えているのだ。

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