溝口敦の斬り込み時評 No.533(2026年7月27日)
何でも噛んでも「匿流型犯罪」に区分けするおかしさ

 近頃は粗暴犯的な犯罪も、実行犯の募集にSNSや単に知り合いの素行不良の若者を集め、実行させただけで「匿流の犯罪」とグループ分けされているようだ。

 しかし、考えてみれば素行不良の若者を集めただけの強盗事件はほとんどが逮捕覚悟、やけくそじみた一発勝負で、成功はほぼ無理だろう。実行に参加する者への報酬もほとんどが全員が逮捕されてしまうから、実入りはゼロに等しい。

 これを暴力団に変わる重点施策となった「匿名・流動型犯罪グループ」の犯罪といっていいのだろうか。

 およそこの手の犯罪は知能型と粗暴犯型に分かれる。これまで何回か指摘してきたことだが、匿流や半グレのモットーとするところは自分、あるいは自分たちのグループ員は可能な限り逮捕されない、逮捕されるボロを出さないということである。

 できるなら実行犯となる使い捨て要員でさえ逮捕されないでほしい。彼らから芋づる式に上部に逮捕が及ぶ危険も阻止したいとするのが彼らの本来である。

 詐欺や特殊詐欺は強盗や強盗傷害、殺人などと比べ、極めて刑が軽く、ダンチで実入りがいい。このことは警察官を名乗る特殊詐欺にいい若い者でさえ騙され、カネを詐取されていることに露骨に窺える。

 これまで特殊詐欺の代表視されていたオレオレ詐欺の被害者が主に高齢者だったのに対し、警察官などを名乗る詐欺は一段と被害者の幅を広げ、老若男女を問わない被害層を形成している。

 このような時期になぜ粗暴犯的な強盗傷害、強盗殺人の蔓延なのか。

 思うに参加人員が拡大したからだろう。物の値上がりが激しく、毎回、どう食ったらいいか苦しむ人たちが増えた、カネになるなら何だってやる層が増え、犯罪するに当たってその犯罪の成功率を見ない。その場その場の嗅覚で動くしかないほどゆとりがない。

 二つ目は情報の枯渇である。どこの誰が資産家か、その資産は現金なのか、銀行通帳の中なのか、あるいは株式口座の中に入っているのか、外資預金なのか、仮想通貨なのか、徹底的に情報が不足している。

 この手の情報はふつう詐欺でしか得られない。電話口で会話を続けながら、脅したり、すかしたりする中で、時間をかけて得られる。強盗では無理なのだ。現金がキャッシュの形で家の中にある場合ぐらいしか成功はおぼつかない。

 匿流型とされる犯罪の増加はトクリュウ犯罪の進化と世相の経済的な詰まりを見なければ理解できない。