溝口敦の斬り込み時評 No.528(2026年5月11日)
7代目山口組組長をめぐる人事情報

 現在、山口組では野内正博・弘道会会長が若頭補佐のひとりに抜擢されるのではないかという噂が飛び交っている。

 野内会長が山口組の直参(直系組長のひとり)になったのが去年9月、「幹部」という役職に就いたのが今年3月だから、あまりにも早く昇進を重ねていくと評されるのも当然だろう。

 野内が山口組の若頭補佐につけば、いよいよ山口組本部の人事に手をつけられる。二代に亘る「弘道会支配、準備完了、王手!」となるわけだ。

 具体的にいえば、六代目山口組組長の司忍は引退か、あるいは総裁などの役職を新設してそれに就き、どっちにしろ現役を離れる。

 次の山口組の7代目組長には今若頭の竹内照明(弘道会総裁)が上がり、7代目山口組組長の若頭には野内正博が就くというのが完成図である。

 要するに今まで続いた組長・司忍ー若頭・高山清司のラインが単に組長・竹内照明ー若頭・野内正博と役者を変えて衣替えする。この4人が4人とも弘道会出身だから、二代どころか、まかり間違うと三代も見据えた弘道会による山口組支配になるかもしれない。

 山口組には弘道会の他に人材はいないのかという疑問も湧く。そうではなく、単にかつて子飼いだった者だけを信用できるというリーダーの習性によるというべきだろう。

 一般の組織もやくざ組織もこの点は同じで、次のリーダーは有能さで選ばれるのではなく、今のリーダーに忠実で、よく言うことを聞き、おべっかも使えるイエスマンというのが条件になる。

 たとえば中国で独裁的な権力を振るう習近平は厦門、福州市、福建省、浙江省、上海市などの任地を経て中央政治局入りしているが、彼が過去、抜擢した各面の幹部たちはこれら任地で習近平の側近として仕えた者たちが大半だった。

 結局、ひとたび権力を握った者はかつて子飼いだった者しか信用できない。彼の関心事は次の代になったとき、自分が組織で円満に遇されるか、途中、寝首を掻かれないか、といったもので、次の代が引き継いだ組織を発展させることができるかどうか、などはどうでもいいのだ。

 六代目山口組をこれまで引っ張ってきたのは実質的には司組長ではなく、高山清司・前若頭だったが、前記した弘道会出身者は司組長を除けば、残り全部が弘道会の傘下組織、高山清司が率いた高山組の生え抜きである。

 山口組は弘道会支配といわれるが、もっと正確には高山支配、高山組支配というべきかもしれない。今の雲息ではそれが2代続くことはほぼ間違いない。