435)警察は組織を変えても暴力団と半グレに対応できない(22年2月14日)


 1月17日に水戸で起きた6代目山口組傘下一心会系三瓶組の神部達也若頭射殺事件は、①現場に使用拳銃が残されていた、②神部若頭の車が埼玉までの逃走に使われた——など、数々の物証が残されたにもかかわらず、今もって実行犯は逮捕されていない。

 不思議である。水戸から埼玉までの逃走経路には多数の防犯カメラが設置されている。運転する犯人の人相風体もばっちり捉えていたはずだが、1カ月近く経ってもまだ誰の犯行か特定できずにいる。
 警察の捜査力は目に見えて衰えている。山口組分裂抗争がらみでも、たとえば去年8月、東京オリンピックの開催中に神戸山口組傘下山健組の與則和若頭が神戸市の自宅前で銃撃された事件でも犯人を特定できず未逮捕である。

 また17年9月、神戸山口組傘下山健組の組員、菱川龍己容疑者が任侠山口組(現、絆會)織田絆誠会長のボディガード楠本勇浩組員を射殺した事件では犯人を特定したものの、今もって逮捕できていない。

 警察庁も明らかに暴力団犯罪に対処し切れていないという自覚があるのだろう。従来、刑事局の暴力団対策部だったセクションを組織犯罪対策部と改め、その下に外国人組織犯罪対策、国際捜査共助、暴力団対策、薬物・銃器犯罪を含め、また生活安全局の下にサイバー犯罪対策課を新設すると伝えられる。

 これと見合ってのことか、警視庁も従来の組織犯罪対策3課と4課は暴力団対策課に統合するという。

 暴力団の構成員は減っている。暴力団が以前に比べ弱体化していることは確かだ。しかし反面、暴力団犯罪捜査の困難度は増している。主に暴力団が警察に情報を与えないからだろう。少なくともこうした事態への対策は配置換えや名称変更ではないと思う。

 まして組対の守備範囲は半グレまでカバーするようになる。特殊詐欺などに手を染める半グレ集団の犯罪では、被害者宅に出向いて現金を受け取る「受け子」ぐらいは、現状の警察力でも逮捕できる。しかし、カモとなる高齢者などに電話し、その者を被害者に仕立てる「掛け子」などの頭脳部分はほとんど手つかずである。

 半グレは暴力団のように基礎データがない。恒常的な組織をつくらず、ジョブごとといっていいほど所属グループを代え、トップと盃事せず、他グループと交流、交際しない。暴力団と違って悪名を上げることを避け、隠れて悪事に走る。自分の犯罪は秘し隠し、一見カタギのような顔をしたがる。

 今の組対はふだんはヒマをかこち、たまに事件が起きると解決までに手間取る。その上に半グレや外国人犯罪が加わって、果たして十分な対応ができるのだろうか。