412)シノギが振るわない半グレで静かに進む地殻変動(21年2月8日)


 半グレの代表的なシノギだったオレオレ詐欺など特殊詐欺の被害件数は前年比約2割減、被害額も約277億円(同12%減)と減少傾向にあるようだ。

 実際、過去、半グレ犯罪で太く稼いで来た男たちに聞いても、いずれも最近、シノギは振るわないらしい。

「新シノギが出て来ない。誰もノウハウを思いつかない。金塊密輸で消費税をくすねた後、ヒット商法がないんです。

 一時期、ソフトヤミ金や給与ファクタリングがまた有望になったかと思ったけど、これもすぐ本質はヤミ金だと摘発を食った。警察の動きが早すぎて、乗り出すヒマがない。

 仮想通貨も大手の金融業者が乗り出しているから、以前のようなうま味がない。その上、特殊詐欺は暴力団が乗り出してきて我々の足を引っ張っている。別の連中が、我々が最初に始めたことを侵食している。防ぎようがない」

 別の半グレがぼやく。

「最近、悪いのはカタギですよ。コロナ対策で国が出した給付金をもらおうと誰彼お構いなく持ち掛け、書類づくりなどを手伝って給付金の5割ぐらいを手数料で持っていく。本来、公金詐欺は我々の分野だったけど、奴らはトンビみたいに横から素早くかっさらった」

 警視庁は来年4月から特殊詐欺の所管をこれまでの捜査2課から組対の暴力団対策課に移すようだ。いよいよ半グレは暴力団と同じに扱われる。

 半グレ歴10年以上のベテランが言う。

「少なくとも私は単独でやるか、ジョブごとにチームを作り替える。もともと組織がないんです。それを組対の暴対が追い切れるか。言っては悪いけど、暴対にそれだけの頭はない。資料整理に混乱するだけと思う。

 しかし、我々が暴力団と一緒の扱いというのは迷惑ですね。私は暴力団ほど頭が悪くないというので半グレをやっているわけで、これまで奴らとシノギで組んだことがない。なにしろ表面、私は純然たるカタギです。女房だって私が半グレってことは知らない。

 こうなったのは一部の連中が暴力団の傘下に入ったからです。バカな連中がシノギのやり方を暴力団に教えてしまった。

 だから組対はオレオレをやってる連中に手を出しやすくなったし、オレオレ詐欺は組の資金源になっている。被害者は組長の使用者責任という法概念を使って損害賠償請求訴訟ができるって言い出した。

 まあ組対が掴まえるのは受け子ぐらいで、電話の掛け子や指揮官など、上の連中は無理でしょうけどね」

 半グレの世界も沈滞しながら、ゆっくり地殻変動が進んでいるようだ。