396)カタギに女房を取られたヤクザが逆上という時代(20年6月1日)


 26日、長野県坂城町で男女3人の遺体が発見される事件が起きた。県警によると、暴力団組員小沢翔(35)がこの家の長男に妻を取られ、それを恨みに思って、2日前、長男に暴行した。長男は事件の前日、警察に被害届けを出したが、当日、小沢は長男の自宅に侵入して弟妹2人を射殺、小沢自らも拳銃で自殺したらしい。

 不思議なのは、なぜか県警が自殺した加害者小沢の所属組を発表しないことだ。しかしヤクザの世界では、たいていの組がやったのは六代目山口組の直系益田組(横浜)の傘下団体組員だと掴んでいる。

 六代目山口組系の組員がカタギに女房を寝取られた上、八つ当たりで寝取った男の弟妹を拳銃で撃ち殺し、自分も頭に拳銃を発射した今回の事件を、六代目系の犯行と知られることは六代目の名折れになる、つまり名誉を毀損するとでも、長野県警は考えているのか。

 小沢の奧さんは寝取った方のカタギと同じ職場に勤めていたようだが、ちょっと前までは恋人や妻を寝取るのはヤクザ、寝取られるのはカタギの方と相場が決まっていた。だが、今や逆転、いかにヤクザに魅力がないかを如実に語っている。

 中立組の中堅幹部が言う。

「警察は六代目山口組のメンバーを6千人、神戸山口組を3千人と発表してますが、ウソばっかり。両方とも若い衆がボロボロ飛ぶ、つまり音信不通になってる。組に籍があたって飯が食えないんだから、飛ぶしかない。女房、子どもだって養えない。

 警察は六代目側がシロアリみたいに神戸側を喰ってるイメージを流したいようだけど、実態は敵さんの攻撃や突き崩しより、自派から落ちる組員の方が大きい」

 山一抗争のときには竹中武の工作で加茂田重政が引退して組を解散、その直後に竹中組系安東会の安東美樹(現、六代目山口組若頭補佐)が山本広宅前で擲弾を暴発させ、警官3人に重傷を与えた。

 これで一和会はバタバタッと崩れて解散になったが、今回はそうはいかないと、この幹部は言う。

「神戸山口組だって少なくとも今年一杯は持ちこたえます。たとえ幹部クラスが引退してカタギになることはあっても、六代目山口組には戻らない。

 また組長の井上邦雄は一人になっても、神戸山口組を解散しない。コロナが続き、分裂抗争も続く。ぐずぐず長期戦をやっているうち、両派共倒れってストーリーもあり得ます」

 末端組員たちはこれからも「どこまで続くぬかるみぞ」と息もたえだえに、絶望の行進を続けるほかにない。家を失い、女房を失い、シノギを失い、夢を失い、最後にはわが命まで失う。まことにヤクザを続けることは難業である。