369)取締りを強化してもオレオレ詐欺が減らない理由(19年2月25日) 


振り込め詐欺などの特殊詐欺被害件数は昨年1年間で1万6493件、被害額は前年比38億円減の356億8000万円だったことが警察庁のまとめで分かった。

 警察庁は「犯行グループの壊滅に向けた取締り強化や金融機関と連携した被害防止策の推進などで一定の成果は出ている」と自己評価しているが、実際に特殊詐欺は減る傾向にあるのか。そうではなかろう。
 被害額が前年に比べ減少したといっても、過去7年間連続で350億円を超えている。特殊詐欺の中でもとりわけオレオレ詐欺は前年比7・5%増の9134件。全体の55・4%を占める。65歳以上の被害は1万2867件で、78・0%に上る。

 これほどオレオレ詐欺への注意喚起が広がっていても、なぜ被害が減らないのか。一つに60代、70代では多少ともまだらボケになるからだ。詐欺電話に対抗するためには「息子の声は…」といった記憶力だけでは不十分。「息子がこんな電話を掛けてくるのか」といった状況判断が物をいう。

 判断力に自信がなければ、自宅に置いた固定電話にいっさい出ないか、固定電話に録音機能をつけるか、だろう。電話を掛けてくる役の「架け子」は声とはいえ、後に証拠となるものを残したがらない。

 60代、70代の人口は年々増えていく。つまりオレオレ詐欺を働くグループに対しては、つねに被害者となるカモ候補者が十分な量、供給され続ける。だからオレオレ詐欺はなくならない。

 また警察庁が「取締り強化で成果が出た」と胸を張っても、半分はウソだろう。というのは警察が掴まえるのはほとんどの場合、被害者の家にのこのこ現金やキャッシュカードを受け取りに行く「受け子」なのだ。

 彼らは「騙された振り作戦」などで逮捕される危険が高い。よって詐欺グループにとって、彼らの実態は、使い捨ての逮捕要員なのだ。詐欺の頭脳部である「架け子」グループとの間には障壁が築かれ、いくら「受け子」を突き上げても、ふだん「受け子」は「架け子」と接触してないのだから、「架け子」グループに到達できない。

 これを突破するには「架け子部屋」を強襲することだ。しかし、犯人たちの詐欺道具であるレンタル携帯やIP電話は法的に管理しきれてないし、通信傍受や携帯、スマホのGPS機能も十分に生かせていない。

 被害候補者と取締り体制がこんな状態なら、オレオレ詐欺は減らない。まだ当分の間、オレオレ詐欺は、半グレなどの反社がたっぷり獲物を狩れるいい猟場であり続ける。短命で終わった金塊密輸とは大違いなのだ。