362)「キッチンラボ」でできる覚せい剤の新製法(18年10月22日)


 先日、厚労省麻取の元幹部取締官と会食する機会があった。彼が言うには覚せい剤の乱用は広がる一方で発生件数が増大、取締り側の厚労省や警察が手に余すほどらしい。

 覚せい剤を使った上でのセックスを俗に「キメセク」というが、キメセクが原因となり、男から女に、また女から男に覚せい剤の乱用は感染しているという。

「感染」という言葉使いに驚いたが、覚せい剤は主にキメセクを介して、病原菌のように伝染している。乱用する場面の8〜9割はキメセクという。

 元取締官が覚せい剤の蔓延を憂える原因はもう一つある。

 たまたまカナダは17日、大麻の所持と使用を合法化したが、日本でも覚せい剤がより蔓延化する状況があるらしい。

「覚せい剤の新しい密造法が開発され、それが徐々に日本で広まり始めている。

新密造法は熱を使わない。密造の過程で加熱の必要がないんです。そのため臭いが出ず、隣近所に密造が分かりにくい。原料は風邪薬などに含まれるエフェドリンやプソイドエフェドリンを抽出して使いますが、これにより素人が気軽に覚せい剤の密造に手を出し、よりお手軽に覚せい剤を試す危険が出てきました」

ただミキサーで原材料を撹拌する過程が伴うらしい。その意味では新製造法も「キッチンラボ」でできるとはいえよう。

事実、今年9月、名古屋市の大学1年の男子学生(19)が爆薬や拳銃のほか、覚せい剤を密造して逮捕された。また3月には米国籍の男(25)が東京都大田区と港区の民泊で鍋やフライパンなどを使い、覚せい剤を製造して逮捕された。

彼らはおそらく熱を使う旧来の方法で密造し、新製造法を採用しなかったのだろうが、それにしても都会の住宅街の真ん中でお気軽に密造してくれたものである。

ご承知のように覚せい剤は高価である。製造原価1キロ数百円のものが日本に密輸されれば末端価格で1グラム3万円以上になる。日本国内での流通を暴力団が仕切り、密輸元、卸、小分け、末端に至るそれぞれが暴利をむさぼるから、耳かき1杯ほどの1パケが1万円以上にもなる。

だが、暴力団の力が相対的に弱まり、それにともない覚せい剤の流通でも統制力に陰りが見え始めたらしい。その上、日本国内で新密造法が広く知られれば、覚せい剤は値崩れを起こし、「人間やめますか」病が爆発的に増えることになる。

逆にいえば、暴力団が覚せい剤を資金源にしているから、覚せい剤の蔓延はこの程度で済んでいるとみることも可能だろう。