361)ようやく捕まった樋田容疑者 逃げ続けているヤクザ(18年10月1日)


 ようやく樋田淳也容疑者(30)が逮捕された。樋田容疑者は強制性交や強盗致傷容疑で逮捕され、大阪・富田林署に留置されていたが、8月12日に逃走。大阪府警は3千人態勢で行方を追い、49日目、約300キロ離れた山口県周南市の「道の駅」で女性警備員の機転で逮捕された。

 他方、去年9月12日、神戸山口組の中核団体、山健組系の菱川龍己容疑者(42)は任侠山口組の織田絆誠代表の車列を襲い、警護役の楠本勇浩組員を射殺、逃走して1年以上たつが、兵庫県警は依然、菱川容疑者を逮捕できていない。

 逃走には毎日、食うものと寝るところの心配がつきまとう。菱川容疑者は山健組とのつながりがあるから、逃走中、傘下組織の庇護を当てにできる。そうでなければ逆に組上層部の秘密保持から殺され、死体遺棄されるかである。いずれにしろ逃走、隠蔽は単独犯に比べ完遂されやすい。

 今、警察が暴力団に対してやっていることはタマネギの皮を一枚一枚剥くような組織解体と、組員をバラし、街頭へ放り出す分散化といえよう。

神戸山口組、任侠山口組に対する組事務所の使用禁止、組員や元組員に対する銀行口座の新規開設禁止、ローン利用禁止、不動産賃借禁止、微罪の形式犯でも逮捕・勾留などは、組員であることの生きにくさへの加圧以外の何ものでもない。

警察にとっては、組織の菱川タイプより個の樋田タイプの方が望ましいのか。しかし、街にこれほど人の目があり、多数の防犯カメラが設置されながら、それでも樋田は約50日間逃げ延びた。社会は地域コミュニティを失って孤立・分散化し、「見る物、見えず」状態にあるのだろう。

実は暴力団自体も裏では脱ヤクザ化、隠密化を図っている。関西の大手組織の幹部が言う。

「ヤクザにしてほしいと頼みに来る若い人もたまにはいる。だけど、今さら不利益ばっかりのヤクザに入れて、しないですむ苦労はさせられない。だから、そういう人には最初からヤクザ登録せず、裏の半グレ組織に入ってもらう」

ヤクザが初手から組員名簿に載せなければ、警察はその者が組員であるとは把握できない。法的な扱いは一般人と同様になり、暴対法や暴排条例も適用されない。警察は半グレや「不良」に関して、基本データを持っていないのだ。

暴力団が分散化、隠密化することで捜査効率が上がるとは思えない。ことによると警察は暴力団に対して、自縄自縛の戦略を執っているのかもしれない。