348)相変わらず活況 日本の覚醒剤市場(18年5月21日)


 先日、覚醒剤の販売と所持で前科30犯近くの元ヤクザに出会った。今はヤクザも覚醒剤もやめて真人間だが、現役時代は商売物の覚醒剤を摘まんで、彼自身がキメセク(覚醒剤を使ったセックス)にふけっていた。

 ところがその割に、彼からはシャブ中(覚醒剤依存症)じみた態度や雰囲気が感じられない。さんざん人様に売り捌いてシャブ中を蔓延させた元凶のはずだが、ご当人はなお矍鑠として、筆者の質問にもしっかり受け答えができる。

 一体なぜなんですか。面と向かって聞いてみた。と、答えは、

「いや、刑務所に入ったり出たりの連続だったから、シャブ中になるひまがなかったんですよ」

 なるほどと納得した。

 さすがに所内では覚醒剤など薬物は使用・吸引できない。2、3年に1度ぐらいの割で服役していれば、シャブ中気味になっていても、服役で断薬を余儀なくされ、さほど苦しまずに悪習を断てるということか。悪い奴ほどよく眠れる例だろう。

 日本の覚醒剤市場は相変わらず活況のようだ。ちょっと新聞をひっくり返せば、大口の密輸事件が相次いでいる。

(3月)台湾籍の男2人がマレーシアから千葉県八街市内の住宅に木箱に入れた覚醒剤36・8キロを密輸。

(3月)米国籍の男が東京都大田区と港区の民泊を使い、覚醒剤78キロを密輸したほか、精製。

(4月)ブラジル国籍の男が覚醒剤250キロをレーザーカッターに仕込み、香港から東京に密輸。

(4月)座間市のペットショップ経営者夫妻がケニアから覚醒剤30キロを密輸。

(5月)カナダ国籍の男が米カリフォルニア州から品川の民泊施設に航空便で覚醒剤2・2キロを密輸。

 ——こうして密輸された覚醒剤は大半が暴力団の手で捌かれる。暴力団はひところ組員に対し覚醒剤に触るなと通達を出していたが、実質的に現在は、「自己使用しなければ密売は可」ぐらいに緩んできた。覚醒剤は暴力団の専売商品といっていい。

 また欧米ではプアな印象がつきまとった覚醒剤だが、今では全世界的な規模で密造され、現地で消費され、余剰製品が日本をターゲットに密輸されている。日本の引き取り価格が高いからだ。

 覚醒剤、つまりメタンフェタミンは日本で発明、商品化されたが、その生産技術は韓国、台湾、中国、北朝鮮へと移転し、現在では米や東南アジア、オーストラリア、アフリカなど、ほぼ全世界に広まった。覚醒剤は世界に対する日本の逆貢献と言っていい。