343)陸自日報隠蔽は安倍政治の必然(18年4月9日)


 陸上自衛隊のイラク派遣時の日報は、これまでないとされてきたが、実際には存在した。だが、防衛相には報告されず、今シビリアンコントロールの危機などと批判を集めている。

 森友問題では決裁文書の改竄が行われた。防衛相と財務省、二つの事件を併せ考えれば、結局は官僚や上に立つ者が「民は由らしむべし、知らしむべからず」という頭だからだ。

 とりわけ自衛隊の日報問題では、暗愚の安倍が強行し、14年12月から施行した「特定秘密保護法」の影響が考えられる。

 同法では特定秘密のまっ先に「防衛に関する事項」が挙げられ、「自衛隊の運用又はこれに関する見積もり若しくは計画若しくは研究」などと記されている。

 陸上自衛隊や防衛省が「イラクでの活動は自衛隊の運用に関することだから、特定秘密ではないまでも、それに準ずる扱いにすべきだ」と拡大解釈してもなんら不思議はない。情報を洩らした者に対しては、最高で懲役10年が科せられる。であるなら、最初から大事をとって「日報などない」と強弁した方が無難と考えたはずだ。

 おまけに当時の稲田朋美防衛相が頼りないことおびただしいから、日報があると報告した後、国会で野党の質問攻勢にうまく太刀打ちできるか不安である。それなら最初からないことにした方が結局は彼女のためだし、ひいては安倍内閣のためにもなろう。

 これまた「忖度」の類だが、こうして防衛相は日報を隠した。

 自衛隊は03年〜09年までイラク復興特別措置法に基づき、「非戦闘地域」といわれながら実際は「戦闘地域」と疑われる地域に陸上550人、海上330人、航空200人を派遣・投入した。

 陸上自衛隊は延べ人数で約5600人になるが、帰国後、うち21人、航空自衛隊では8人が自殺している。PTSD(心的外傷後ストレス障害)の結果だろうが、派遣された地は心を病むほどの戦闘地域だった。

 であるなら、なおさら政府のために、派遣地の厳しい状況を伝える日報は見せられない。なにしろ安倍政権はアメリカのため、自衛隊員を海外に派兵したくてたまらない。「安全だ、戦死する地域じゃない」としゃにむに隊員を戦地に送り出した。そのために新テロ特別措置法や国際平和支援法、改正周辺事態法など、やたらに法律も調えた。

 だから日報隠匿騒ぎはシビリアンコントロール云々というより、むしろなるべくしてなった安倍政権の咎めである。彼らには公文書が「国民共有の知的資源」といった観念はまるでない。