322)ヤクザ界のトレンディーは任侠山口組(17年10月23日)


 学生が就活する。できれば有名企業に入りたい。それと同じ心理がヤクザにも働く。有名暴力団に入れば、自分のシノギがしやすく、周りにハバも利く。イメージ的にカッコよく、昇進も早そうな団体はどこか…。

 ヤクザが所属団体を選別する。かくて派手な抗争をしなくとも、暴力団世界に自然淘汰が働き、徐々に優勝劣敗が決まっていく。組員の増勢が力になるからだ。

 かねて神戸山口組から直参に昇格させたいと誘われていた奥浦組舎弟頭補佐・札幌勝連合会の前川勝優会長が神戸の申し出を断り、10月17日、任侠山口組に移籍、本部長補佐におさまった。

 同時に組名を北海道絆連合と改めたのだが、やはり神戸山口組だった元東生会若頭補佐・道久誠清水組組長がこれまた任侠山口組に移籍、北海道絆連合の長野支部長となった。さらに茨城支部長になったのが奥浦組・関勝信幹部である。また同じく神戸山口組傘下の雄成会(京都)・塩入翔伍若頭補佐が清水組に加わった。

 以上は神戸山口組→任侠山口組の流れだが、逆の流れもある。任侠山口組の舎弟だった牧野興業・牧野元義組長が山健組に復活している。

 売れっ子ホステスにはバンス(給料前払い)や借金肩代わりの習慣がある。ヤクザ世界も同じように移籍に際して、受け入れ組がそれまでの借金を肩代わりする場合がある。山口組3団体では事実上、盃の縛りが解消されているから、組員の受け入れ元が流動化している。

 またある日突然、音信不通になる組員も増えている。表立って組抜けせず、何とはなしに蒸発するのだ。

 ヤクザ世界に詳しい大阪の事業家が言う。

「とりわけ山口組の場合、組員が組を選ぶ時代です。『月会費が払えないなら泥棒してでも持ってこい』というブラック企業流儀はもうペケ。月会費が安く、体の自由を縛られない。シノギがやりやすく、カッコいい団体が伸びている。

 10数年前には山健組がトレンディーだったが、今は織田一門の任侠でしょう。現に20代、30代の若手や半グレが任侠山口組の門を叩いている」

 織田絆誠代表の<会費は月10万円以下、盃をせず、組員は横並び、ヤクザはヤクザらしく、社会のお役に立つ>といった主張がゆっくり若年層に浸透しているようだ。

 11月初旬には拙著「山口組三国志 織田絆誠という男」が講談社から出る。任侠山口組ばかりか、これからの山口組3派全体をどう理解するか、筆者は基本になる本と自負している。