318)非核3原則の一時的中断であれば現実的(17年9月11日)


 アメリカは6日、国連安全保障理事会に向けて対北朝鮮の制裁強化決議案を配布した。それには北朝鮮への石油、石油精製品、天然ガス液の輸出禁止、北朝鮮が国外派遣する労働者の雇用禁止、貨物船への公海上での強制的な立ち入り検査などが含まれている。

 だが、中国やロシアは相変わらず石油の全面禁輸に及び腰だ。戦前、日本が経験したABCD包囲網はなるほど日本を石油不足に落とし込んだが、北朝鮮は中国に石油の蛇口を閉められたところでさして傷手ではない。

 売りたくてうずうずしているロシアが控えているし、何しろ北朝鮮は現在、世界158カ国と国交を結んでいる。その中には産油国のイランなど、北朝鮮に石油を輸出したい国がゴマンとある。

 よって経済封鎖では、北朝鮮は核を放棄せず、諦めない。かつてイラクは核を放棄し、全面査察に応じたとたん、アメリカ、イギリスから侵攻された。イラク戦争を起こされ、国は無政府状況に陥り、サダム・フセインは処刑された。

 金正恩はこうしたイラクの取り返しのつかない失敗に学んでいる。核を手放したとたん、アメリカに侵攻され、自分の首が飛ぶと心得ている。である以上、石油の禁輸ぐらいで核もミサイルも諦めるわけがない。

 経済制裁がダメなら日本は北朝鮮にどう対処すべきか。このコラムの315回で述べたように、日本もアメリカの一部論者に学ぶ。つまり北朝鮮の核を黙認して、見守ることだ。

 日本では核の不拡散が世論の多数派だろうが、それを一時棚上げする。かつ非核3原則(核兵器を持たず、つくらず、持ち込ませず)を一時的に中断し、「北朝鮮が持つのであれば、日本も持つ。急遽、核を開発する」と声明することである。その際、韓国にも日本と共同歩調を取るよう呼び掛ける。

 北朝鮮、韓国、日本が核兵器を持てば、一番嫌がるのは中国だろう。国の北東方向に強烈な核の橋頭堡が築かれるからだ。そうでなくても中国はロシア、インド、パキスタンと核に囲まれている。

 中国はとりわけ日本に核を持たせたくない。戦前の悪夢が蘇るからだ。そのため必死になって北朝鮮を抑え、金正恩を拉致、あるいは斬首作戦に踏み切るかもしれない。

 その後、情勢が変わり、北朝鮮が核を放棄する気になれば、日本も核を放棄する。北朝鮮のミサイルが北海道上空を飛翔したからといって、電車を停め、児童生徒を教室の片隅に屈ませ、頭を抱えさせるより、数倍現実的な対処法ではないか。