317)触れる物すべてを土に変えてしまう暗愚の宰相(17年9月4日)


 北方四島の元島民らは8月30日、根室で江崎鉄磨・沖縄北方相と懇談した際、安倍首相の北方領土返還交渉を批判、失望の声を挙げたという。

 つまり昨年12月、安倍首相は来日したロシアのプーチン大統領と首脳会談したが、北方四島の返還交渉になんら進展が見られなかったからだ。

 それどころかロシアのメドベージェフ首相は8月23日、極東の経済発展を促すため経済特区「先行発展地域」(TOR)を北方領土に設置する政令に署名、まず色丹島に新たなTORを設置し、水産加工などの企業進出を想定しているという。

 いうまでもないことだが、1956年に締結された日ソ共同宣言では、両国間で平和条約が締結された後、色丹島と歯舞群島は日本に引き渡されることが決められている。

 そこに今回ロシアが経済特区を新設するのは、歯舞、色丹を含めて北方四島は金輪際、日本に返さない、と声明したに等しい。

 北方領土の返還交渉に関するかぎり、安倍はロシアに戦後最悪のレベルにまで追い込まれた。安倍がわざわざプーチンを日本に呼んで行った首脳会談とは何だったのか。安倍が動くと、事態は悪化する一方ではないか。

 安倍は首相に就任以来、延べ110カ国を訪れ、表明した経済支援総額は官民合わせ約54兆円に及ぶという。日本国民が福祉や文教予算の削減で苦しむとき、安倍が行く先々の国でお大尽ヅラしてばらまいた経済支援はほとんど死に金である。

 ましてロシアの2016年国内総生産(GDP)は世界12位で、中国のわずか9分の1、韓国に比べても劣るという。

 そういうロシアにここまで舐められる。ギリシア神話のミダス王は触れる物すべてが黄金に変わる力を授けられ、困り果てた。逆に暗愚の宰相・安倍は、触れる物すべてを土に変えてしまう。

 何が外交の安倍だ、外交はあんたの頭では複雑すぎる、止めとけ、といいたくなる。が、安倍は懲りもせず、9月にウラジオストクでまたプーチンに会う。

 交渉ごとは自分の都合だけでは進められない。相手と自分がそのとき置かれた情況や周辺の力関係を踏まえなければ成功は覚束ない。

 安倍が交渉ごとや事の決着を不得手とするのは外交ばかりか、国内でもだ。早い話、思想的同志だった森友学園・籠池泰典氏でさえ、安倍がやったことが裏目に出て、学園を潰し、縄付きにされた。

 お友達の加計学園理事長・加計孝太郎氏も安倍の手が触れたがため、籠池氏と似たりよったりの運命をたどるだろう。