302)任侠団体山口組の独立は「コップの中の内輪もめ」ではない(17年5月15日)


 神戸山口組から分裂して4月30日、「任侠団体山口組」が結成されたが、警察は依然として分裂ではなく、内部対立と見たいようだ。

 もし新団体なら、今後半年ほどかけて暴力団指定するまで「任侠団体山口組」への法的手がかりを失う。内部対立としておけば、暴対法上の指定団体「神戸山口組」と同じに扱える。

 また任侠団体山口組では組長を定めないから、組長との親子、兄弟盃はあり得ない。組長は空席のままで、単に代表(織田絆誠)を置き、「皆が平等、支え合い助け合う」という。

 だが、これだと、暴対法3条の3「当該暴力団を代表する者又はその運営を支配する地位にある者の統制の下に階層的に構成されている団体であること」に該当せず、暴力団だと認定することさえ難しくなる。

 しかし任侠団体山口組を単に神戸山口組の、あるいは四代目山健組の、「コップの中の嵐」と見るのは早計だろう。現に5月7日、六代目山口組の直系組織、淡海一家(滋賀県大津市)から舎弟・大谷栄伸組長が離脱し、新たに京滋連合を結成した上、任侠団体山口組に加わった。

「大谷組長は“不死身のエイシン”といわれる武闘派で、近畿圏では名が通っている。なにしろこれまで3度拳銃で撃たれて、3度とも死なない。ピンピンしている。こういう武闘派が結成直後、任侠団体山口組に参加してくれた、しかも六代目山口組側からだ。組内は盛り上がり、本部長補佐に迎えて、執行部入りです」(任侠団体山口組の幹部)

 任侠団体山口組は今後、六代目山口組も神戸山口組も侵食していく。なぜなら今回の分裂劇には世代間戦争の一面があり、主に50代までの働き盛りである中堅・若手層が結集して既得権益集団にぶつかる。

 中堅若手層はおおよそ権益を持たない。下の者が毎月運ぶ上納金で贅沢な飯を食うわけではない。彼らより上の層は「位が上になればなるほど、自分のシノギから離れなければならない。なぜならシノギがパクられる理由になるから」(渡辺芳則山口組五代目組長)という理屈で、下の者に寄生していた。

 対して任侠団体山口組は民主化の芽を持ち、会費は組織の上から下まで月額10万円以下と定めている。神戸山口組では直参たちが払う月会費は多くても30万円という決まりだったが、二次団体である山健組では直系1人が月額70万円、80万円と納めていた。しかも会費とは別に年8回も臨時徴収があった。

「山健組には懲役が多い。差入れだけでも大変で、その上、留守家族の面倒も見る。カネが掛かり、高額の会費は仕方がない」と、神戸山口組の幹部は庇うが、下部は「もう耐えられない」と一揆を起こしたわけだ。