301)神戸山口組分裂、織田代表に真意と展望を聞いた 侠道精神を取り戻す(17年5月8日)


 4月30日、神戸山口組から「任侠団体山口組」(織田絆誠代表、約60団体加盟)が分離、独立した。筆者は結成後、織田代表を訪ね、長時間インタビューを行った。

 内容の詳細については8日発売の「週刊現代」をご覧いただきたいが、明確化した点はこうだ。

 山口組を再統一し、組員たちを対立・抗争の桎梏から解放するためには、恨みつらみなど過去の感情的もつれを抱える旧世代が退き、中堅世代に潔くバトンを渡すことだ。そのための最低条件は六代目山口組から司忍組長、高山清司若頭、神戸山口組から井上邦雄組長、正木年男総本部長が引退しなければならない。

 任侠団体山口組では傘下の組織に至るまで、月会費は10万円以下と定める。団体としては他団体との交際は行わない。カネがかかるからで、他団体と交際したければ個人で行う。

 団体の本部は定めない。定例会の場所は加盟団体の持ち回りで行い、多人数が集まる必要があるときには、大広間を持つ組織で行う。従来通り山菱の代紋を使う。

 集まりのときも服装は自由。従来の決まり切ったダークスーツ、ワイシャツ姿は撤廃。茶髪やサングラス、カラーシャツも可。ヤクザはヤクザらしくがモットーで、これは抗争に当たっても変わらない。会費はオール10万円以下だから、月に5万円、1万円といった下部組織もあり得る。

 組員は会費の安さから生活にゆとりを持った上、社会貢献を心掛ける。田岡一雄三代目が定めた山口組「綱領」には「侠道精神に則り国家社会の興隆に貢献」とある。

 綱領は式事の際読み上げるだけでなく、実践したい。具体的にはヤクザが反社(反社会的集団)と見られ、警察から正業を営むことも阻止される現状を脱却すべく、たとえば不良外国人対策や海外での邦人警護などに取り組みたい。現在、そのための具体的方策を研究中だが、努力の積み重ねで社会的な有用性の認知に結びつけたい。

 織田代表は熱のある雄弁家で、しかもこれまで神戸山口組の若頭代行として、全国の中堅、若手に直接、語りかけてきた。傘下組員の心をがっちり掴んでいると見られ、今回の分裂・独立が日ごとに影響力を増し、小が大を呑み込む事態さえ起こり得よう。

 カリスマ性さえ持つ織田代表を失った神戸山口組は悔やんでも悔やみ切れない損失を負った。山口組も暴力団世界全体も激動の時代を迎えている。