299)福岡現金3・8億円強奪の背景を読む(17年4月24日)


 福岡の3億8千万円強奪事件はまだ全容が明かされていないが、おそらく金インゴット(地金)の密輸がらみの犯罪だろう。

 多額の現金を奪われた東京都足立区の男性会社員(29)は貴金属店勤めで、奪われた3・84億円は金の買い付け資金だったという。ここでこの会社員が日本で金を買うつもりだったのか、海外で買うつもりだったのかが問題になる。

 日本で買うつもりだったのなら、その金はプロ集団が消費税8%を払うことなく、日本に持ち込んだ金の買い付けだろう。

 現在、金は値上がりが激しく、1キログラム当たり買いが約480万円、売りが約490万円ぐらいだ(いずれも消費税込み)。3・84億円あれば、おおよそ80キログラムの金を買い付けられる。

 そうでなくても福岡では去年7月、警察官を装った男数人が、金を貴金属店に持ち込もうとしていた男たちを取り囲み、「密輸品なのは分かってるんだぞ」と、金塊入り(6億円相当)のケースを詐取した事件が発生した。

 また一昨年12月には稲川会系の組幹部2人がマカオで金112キログラムを買い付け、プライベートジェット「ガルフストリームG200」で那覇空港に持ち込んだが、税関職員と沖縄県警の捜査で摘発される事件も起きた。

 金は全世界どこで買っても同じ値段だが、ただ国によって消費税(または付加価値税)がかかる、かからないの違いがある。日本では売り買いとも消費税8%を徴収されるが、香港やマカオ、シンガポール、ドバイなどでは税金ゼロで買い付けられる。

 それを日本に持ち込み、見咎められることなく通関を通貨できれば、売却先の日本の貴金属店が消費税分8%をプラスして買い上げてくれる。つまりその8%が密輸グループの利益になる。

 今回、3・84億円を強奪された会社員が海外での買い付け資金として現金を用意したとすれば、その金はつまり金密輸遂行のための資金となる。通常、運び屋数人を組織し、1人につき海外で4—5キログラムを買わせ、それを機内に持ち込ませ、日本に運び込む。成功の場合は3・84億円を用意した場合、3千万円ぐらいの粗利になる。

 金利ゼロ時代のカネの運用法として、8%の粗利は大きい。そして福岡、沖縄辺りは通関がぬるいのか、金密輸の集積地になろうとしている。不況の日本であっても、あぶく銭を握る人間たちがいて、しこしこ金密輸というマネーゲームに励んでいる。