297)老齢化が進む暴力団のミジメな今後(17年4月10日)


 警察庁によると、2015年末現在の暴力団組員のうち、50歳以上の組員が4割を超えた。年代別では50代が20・0%、60代が15・1%、70代以上が6・0%という。

 これをもって警察庁は暴力団の高齢化が加速しているというのだが、正確な分析とはいえない。総務省発表の総人口で見ると、50歳以上は5833万人(46・0%)も存在する。つまり一般の方がヤクザよりさらに高齢化が進んでいる。

 おまけに統計上、50歳以上とはいっても、64歳までは「生産年齢人口」なのだ。50代、60代前半まで「高齢化」に算入しては怒り出すヤクザたちがいるにちがいない。

 とはいえ、暴力団が老いさらばえたことは確かだ。日本人総体と軌を一にして高齢化している。高齢化した結果、暴力団に今何が起きているのか。端的な例を挙げよう。 

 分裂した2つの山口組の間で抗争が起こりにくくなっている。上に立つトップ層はそうでなくても高齢者が多いから、今さら長期刑で服役したくはない。万一、下の者が功名心に駆られて飛び跳ねると、警察はお前が命令、教唆したと、上の者も引っ捕らえる。だから上の者は「(気持ちを)押さえて、押さえて」と下の者をなだめ、抗争に走らせまいとする。よって抗争が連続しない。

 またヤクザのほとんどは遊び好きの勉強嫌いだから、今の技術や世間の関心がどこにあるか、よく分からない。スマホやパソコンなども十分使いこなせない。新しいシノギはほとんどITやネットで生まれるから、新シノギを考案・応用できない。どうしても技術に習熟する半グレなどに負け、彼らの安定的なシノギは、昔ながらの覚醒剤ぐらいになる。

 高齢化は貧窮化でもあるから、魅力に欠け、若手を吸引できない。組織は停滞し、暴力的な威嚇力も欠け、かつては反社全体に利かせていた睨みも効力が落ちて、業界全体を牛耳れない。

 他方、半グレ集団の方もオレオレなど特殊詐欺を考案した後、大ヒットするシノギを生み出せないでいる。危険ドラッグは全滅、ビットコインがらみの金融商品や金地金密輸、バイナリーオプション取引なども定着せず、安定的なシノギを見つけ出せずにいる。

 となると、暴力団も含めた日本の反社会的集団は今後どうなるのか。結局は欧米諸国並みに、名もない犯罪グループがあちこちに棲息、出没するのか。カネ取りだけに目の色を変えた夢も希望もない連中たち---。