295)共謀罪、血祭りに上げられるのはテロリストより暴力団(17年3月27日)


 警察の分類では暴力団は組員(構成員)と準構成員に二大別されるが、両方を合わせた暴力団勢力は25年前の9万6000人に比べて半減以下、3万9100人に減ったという。16日、警察庁が発表した。

 うち組員は2万人を割って1万8100人。対して全国の警察職員は30万人に上る。16倍以上も勢力が違い、ヤクザは警察の敵ではない。遠からず暴力団全体が総会屋の運命をたどろう。実質、消滅である。

 しかも政府は21日、「共謀罪」創設の狙いで組織的犯罪処罰法の改正案を閣議決定し、衆院に提出した。対象犯罪の数は277に減ったが、政府が使う「テロ等準備罪」は世論騙しの名目にすぎず、残った罪名は組織的詐欺や覚せい剤、人身売買など、暴力団対象の犯罪が多数を占める。

 共謀罪でまず血祭りに挙げられるのは暴力団と見られる。共産主義思想叩きから始まった治安維持法とはこの点が違う。

 すでに法成立の前から、暴力団に対しては、まるで共謀罪が成立したかのような判決が下されている。22日、福岡地裁は組織犯罪処罰法違反(組織的な殺人未遂)などの罪に問われた工藤會系組員に対して、なんら上部の指揮命令系統を検証することなく、被告組員は「工藤會トップの指揮命令に従い、元警部や歯科医を殺害しようとした。極めて組織的かつ計画的な犯行だ」として、懲役18年8カ月(別の事件で1年4カ月の刑なので合計20年)の刑を言い渡した。

 この組員は単に自分の車で実行役などを運び、事件の実行に便宜を図ったにすぎない。一運転手役が懲役20年という極刑なのだ。

 判決の論旨は①被告は工藤會の組員として10年以上活動している、②その間、過去に工藤會がなした殺人事件などを見聞きしていた、よって③実行役が人を殺害し、また拳銃を使用するだろうことも当然予想できた、④だが、被告は上位者や同僚に質問せず、事態を回避しようともせず、上位者の指示に従って自分の役割を果たした、⑤よって被告は事件の発生を認識して犯行に関与した、共犯者らと意思を通じていた——というのだ。

 単なる運転手役でも「共謀」の網に絡め取られ、極刑が科される。暴力団に将来性がないことは、一目瞭然ではないか。

 暴力団の最大勢力である山口組で、在日韓国人は組長につけないなどの不文律があるといわれるが、そうした論議はむなしい。服役中の髙山清司若頭は祖父の代はともかく、父の代を見るかぎり在日ではないと愛知県警は認定している。

 この部分で2月28日付当コラムでは曖昧な表現があって、誤解を招いた。いずれにせよ、彼が出所したところで、山口組は跛行状態で、7代目継承はほぼ意味を成さない。