290)分裂した会津小鉄会、2つの組織にこれだけの差(17年2月13日)


 会津小鉄会の六代目会長だった馬場美次・現総裁から絶縁されたはずの原田昇若頭(当時)が、自ら率いる同会系の心誠会事務所(京都市伏見区)を会場に7日、会津小鉄会七代目会長に就くとして、継承式を開いた。

 すでに1月21日、馬場総裁の側は元若頭だった金子利典会長(いろは会、京都市左京区)を七代目会長に据える襲名式を行っているから、はっきりここに会津小鉄会は同名の2つに分裂した。

 原田会長の継承式では後見人を六代目山口組の若頭補佐である竹内照明・弘道会会長がつとめたほか、取持人や見届人など、すべて六代目山口組の若頭補佐や幹部がつとめ、ひときわ六代目山口組色を鮮明にした。

 ひきくらべ金子会長の襲名式では、神戸山口組側は後見人などいっさいの役職を辞退している。会津小鉄会側の自主性に任せ、単に神戸山口組は同会と友好的な関係にあると認めるばかりなのだ。

 分裂した会津小鉄会の2つの式事を見るだけでも、六代目側と神戸側とがそれぞれ暴力団の置かれた現状をどう見ているか、如実に示している。

 六代目側は依然として「六代目山口組による業界の平和」「業界の秩序維持」構想を手放していない。つまり一頭ず抜けた六代目山口組を盟主にして、それぞれの組織を安堵、業界の平和共存を図るという考えである。

 対して神戸側は醒めている。暴力団を取り巻く環境は厳しく、個々の組織の優劣を論じられるほど悠長ではない。今や全組織が絶滅へと追いやられているとき、A組がB組を植民地支配できると考えるのは非現実的で、バカげている。もはや大国主義は通用しない。

 いってみれば両派の考えにはこれだけの違いがある。しかも15年に始まった両派の分裂以降、暴力団世界を縛ってきた決まり事や倫理は次々崩されている。たとえば、

①他の組が絶縁した者と交際してはならない。→お構いなし、交際は自由。

②組織のトップを批判し、また目上の者に盃を突き返してはならない。→お構いなし。相応の理由があれば認める。

③組の裏切り者は草の根分けても絶滅せよ。→適当でいい。それより自分と親分が逮捕されないよう努めろ。

④敵対している組の組員と交際してはならない。→交際するなら上の者に分からないようにやれ。

⑤覚せい剤には触るな。→奨励しないが、シノギで密売する分には黙認。但し自己使用は禁止だ。

 おおよそこの程度の変質、溶融が進み、ヤクザや暴力団は昔、昔の物語に化そうとしている。