溝口敦はノンフィクション中心のライターです。手がける分野は主に社会畑ですが、カバー範囲は広く、山口組、ヤクザ、暴力団、組織犯罪集団、外国人マフィア、人物論、新宗教、科学、食品の安全性、性、小説など多岐にわたっています。発表メディアは主に週刊誌、月刊誌、単行本です。


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溝口敦の斬り込み時評(日刊ゲンダイ、毎週月曜連載)

406)女性スカウトマン乱闘事件と女性の自前化(20年11月2日)

 新宿・歌舞伎町で今年6月、住吉会系の組員などがスカウト会社「ナチュラル」のメンバーと乱闘して大騒ぎになったが、10月28日、警視庁がようやく住吉会系の組員4人とナチュラルの3人を暴力行為等処罰法や傷害容疑で逮捕したことで、一般メディアにも騒ぎは報じられるようになった。

 7月ごろからウェブの「5353ニュース」などで事件が大きく報じられていた。最初はナチュラルの社員がスカウトマンを住吉会系幸平一家・加藤連合の賢総業に引き抜かれたことを恨み、賢総業の組員をバットでボコボコにしたことにあったようだ。

 これでヤクザ側が住吉会系はもちろん極東会なども加えて数十人規模でスカウト狩りを始め、ナチュラル「木山兄弟」と呼ばれる経営者の一方をさらってゴテゴテにし、最終的に和解になった模様だ。

 この事件で改めて注目されるのは、盛り場で稼ぐ女性がらみのカネの巨額さである。スカウトマンは20歳前後の若い女性を中心に、接待を伴う飲食店(キャバクラやクラブ)、あるいは性風俗店(ソープランドやデリヘル)などに女性を斡旋、入店させる。

 店側は女性の美醜や客の吸引力などに応じてスカウトマンに紹介料を払う。これが半端ない額であり、かつ女性の入店後も彼女の売上げに応じてスカウトマンに歩合の礼金が支払われる場合もある。

 女性は客から稼いだカネをホストクラブで好きな男を売上げナンバーワンにするため使ったり、ネットカジノや闇カジノで費消したり、あるいはヒモに貢ぎ、好きな男に思い切り贅沢させたりしている。

 女性がどう使おうと、彼女を中心に莫大な金が流通する。スカウトマンやヤクザは女性に発するおこぼれをめぐって、死に物狂いの乱闘を繰り返すわけだろう。

 女性の中には堅実にカネを貯める者もいる。たとえば、コロナ騒ぎで同伴出勤を始める時間も早くなる。客と3時ごろ待ち合わせて、いきなりホテルでセックスする。

 その後、客と小料理屋などで食事する。だが、酒が入ると、その後、客と店に行ってお相手するのが面倒になる。店のスタッフにいい男がいるのならともかく、つまらない男ばかりだと店は省略し、客と別れて家に帰る。

 女性はこの日、男と寝て、男にもらったカネだけを収入とする。これをウラッピキというらしいが、いわば自前の売春である。現代は性愛だけに彩られた時代といえるかもしれない。性は簡単明瞭な商品である。



<斬り込み時評バックナンバー>

405)「コップの中の嵐」でも生き様の違い(20年10月19日)
404)ジャパンライフ2100億円 オレオレ詐欺301億円で半グレの嘆息(20年10月5日)
403)ITで近代化した組織を目指した工藤會の誤算(20年9月14日)
402)ヤクザも移籍したら働かないと昇進できない(20年8月31日)
401)山口組分裂抗争の結末 今は広域暴力団の時代ではない(20年8月17日)
400)分裂した新生山健組は一本どっこでいく覚悟(20年7月27日)
399)織田組長の絆会は解散を正式撤回、山健組に分裂話(20年7月13日)
398)一部のファンとの紐帯も切れた暴力団のやりっ放し(20年6月29日)
397)どこにでも出向く“今どきホステス”はもう止められない(20年6月15日)
396)カタギに女房を取られたヤクザが逆上という時代(20年6月1日)
395)コロナ禍で暴力団のシノギも壊滅(20年5月18日)
394)「暴力詐欺団」という新語も出てきたヤクザの凋落(20年4月27日)
393)二面性を失った日本の暴力団史はほぼ終わった(20年4月13日)
392)売春一般化で女依存型ヤクザも激減(20年3月30日)
391)コロナ禍で増えそうなヤクザの金銭トラブル殺人(20年3月16日)
390)覚醒剤流通網を叩き潰さない警察の不思議(20年3月2日)
389)家族のためにカチコミをやるヒットマンの哀れ(20年2月10日)
388)特定抗争指定以来、それぞれの組でそれぞれの動き(20年1月27日)
387)「特定抗争指定暴力団」で移動中の組長は殺される(20年1月6日)

2010年7月7日、野球賭博摘発についての溝口敦のコメント
NHK WORLD ニュースライン(10年7月7日)

2008年7月14日、占い師・細木数子は講談社社長に6億円余の損害賠償を求める裁判について、東京地裁に訴えの取り下げ書を提出した。
講談社と溝口は細木の訴えの取り下げに同意し、次のような和解条項を示して細木と和解した。

講談社は、雑誌出版社として財団法人日本雑誌協会が定める雑誌編集倫理綱領(昭和38年10月16日制定、 平成9年6月18日改訂)に基づき、「雑誌編集者は、完全な言論の自由、表現の自由を有する。この自由は、 われわれの基本的権利として強く維持されなければならない」ことを基本とし、「社会の秩序や道徳を尊重す るとともに、暴力の賛美を否定する」との立場に立ちつつ、「個人及び団体の名誉は、他の基本的人権とひと しく尊重され擁護されるべきものである」ことを自覚し、「真実を正確に伝え、記事に採り上げられた人の名 誉やプライバシーをみだりに損なうような内容であってはならない」ことに留意して、行動していくことを、 ここに表明し、補助参加人(溝口敦)は、同様の指針に沿って、行動していくことを表明する。

2008年3月10日、溝口敦と山口組系山健組組長らは東京地裁で和解した。

・この和解を報じる共同通信の配信記事(08年3月10日)
・東京地裁での和解の概略




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