溝口敦はノンフィクション中心のライターです。手がける分野は主に社会畑ですが、カバー範囲は広く、山口組、ヤクザ、暴力団、組織犯罪集団、外国人マフィア、人物論、新宗教、科学、食品の安全性、性、小説など多岐にわたっています。発表メディアは主に週刊誌、月刊誌、単行本です。


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溝口敦の斬り込み時評(日刊ゲンダイ、毎週月曜連載)

427)山口組に新たに7代目継承問題が浮上(21年10月11日)

 六代目山口組の司忍組長と高山清司若頭の関係は世間でいわれるほどうまくいってないようだ。両者の関係を疑わせる動きが出てきた。

 争点は司組長がいつ6代目を退き、7代目を高山若頭に譲るかだ。司組長は来年1月、80歳の大台を迎える。しかし身体は頑健で健康そのもの。対して高山若頭は74歳、いつも俯き、肩を落として病弱そうだ。

 司組長の方がこれからの人生が長いように見受ける。しかし6代目治世下に行われた施政と事件の大半は高山若頭がしでかしたこと。企画と実行力の点で司組長は問題にならない。

 ならば高山若頭に代目を譲って当然と思われるが、事はそれほど単純ではない。内心高山若頭を嫌う直参は多く、人気はむしろ司組長の方が上だ。

 高山若頭は恐れられ、弘道会内部にさえ密かな反対派が存在する。現在、弘道会の主流は高山若頭が出た髙山組であって、司組長が育成した司興業ではない。司組長は弘道会にほとんど手勢を持たない。しかも直参間の経済格差は年々激化し、高山若頭は是正しようともしない。

 とすれば、健康を頼みに司組長が「命尽きるまで6代目の座に」と固執するのも理解できる。どの世界にも引き際を誤った「老害」はある。

 高山若頭に7代目を「禅譲」する約束は2014年、若頭が4000万円恐喝事件で最高裁への上告を取り下げた時点に成ったと推測できる。このとき「出所後に」と約束したはずだが、神戸山口組の分裂抗争で「分裂・抗争が決着した後に」と延期されたはずだ。

 そして今、神戸山口組は風前の灯であり、分裂抗争の決着は間近いと見られる。これが解決すれば、約束通り司氏は組長を退き、高山若頭に7代目の座を明け渡さねばならない。

 そこで活用を思いついたのが絆会・織田絆誠会長の抜擢である。織田会長の力を借りて山口組改革を図り、それにより高山色を払拭する。

 だが、今回、織田会長はこの提案を拒否した。今まで何回も同様の申し出を受け、その度に約束をグズグズにされて来た。もう司組長に利用されたくないらしい。

 司組長の意向を受け織田会長に工作したのはごく一部の直参、司組長の古くからの兄弟分、そして事情に詳しい事業家である。いずれも素人同然だから、盟約の実効性を担保できない。織田会長の提案拒否は当然だろう。

 今回、司組長が動いたのは京都の料亭の所有権をめぐり、愛知県警が弘道会系組長を逮捕した事件がきっかけである。この事件はいずれ竹内照明組長、高山清司若頭に及ぶ。彼らは事件の対応に忙殺されるから、やるなら今、絶好のチャンスと判断した。

 5代目渡辺芳則組長はクーデター同然に、組長の座を司氏に奪われた。同様に司組長も高山若頭のクーデターで追われるのか。



<斬り込み時評バックナンバー>

426)六代目山口組に復縁した山健組に課せられていること(21年9月27日)
425)工藤會トップへの極刑判決の裏に警察の潰されたメンツ(21年9月6日)
424)オレオレ詐欺はダメだけど特殊詐欺はよいという暴力団の倫理観(21年8月23日)
423)本物のヤクザと半グレの間の秘密組員が増えている(21年8月2日)
422)暴力団も不思議がる検察の弘道会への対応(21年7月19日)
421)山健組西川若頭がコロナで死亡し飛び交う謀略情報(21年7月5日)
420)コロナ禍で求められる「デカメロン」的生活(21年6月21日)
419)オレオレ詐欺で賠償を迫られる司組長の自業自得(21年6月7日)
418)暴力団衰退の要因をのばなしにしてきた高山若頭(21年5月10日)
417)山口組の抗争とは別に新陣取り合戦が始まる(21年4月19日)
416)警察が色めき立った関西カチコミ事件のチンケ(21年4月5日)
415)六代目山口組高山若頭の「特定抗争」を仕掛ける辣腕(21年
414)弘道会系組長父子が襲撃された背景に何があるのか(21年3月8日)
413)山口組は弱体化したが弘道会は強化された警察の誤算(21年2月22日)
412)シノギが振るわない半グレで静かに進む地殻変動(21年2月8日)
411)親分子分という擬制血縁関係=ビジネスモデルの崩壊(2021年1月25日)
410)六代目山口組・高山若頭が説く「まじめなヤクザ道」(21年1月4日)

2010年7月7日、野球賭博摘発についての溝口敦のコメント
NHK WORLD ニュースライン(10年7月7日)

2008年7月14日、占い師・細木数子は講談社社長に6億円余の損害賠償を求める裁判について、東京地裁に訴えの取り下げ書を提出した。
講談社と溝口は細木の訴えの取り下げに同意し、次のような和解条項を示して細木と和解した。

講談社は、雑誌出版社として財団法人日本雑誌協会が定める雑誌編集倫理綱領(昭和38年10月16日制定、 平成9年6月18日改訂)に基づき、「雑誌編集者は、完全な言論の自由、表現の自由を有する。この自由は、 われわれの基本的権利として強く維持されなければならない」ことを基本とし、「社会の秩序や道徳を尊重す るとともに、暴力の賛美を否定する」との立場に立ちつつ、「個人及び団体の名誉は、他の基本的人権とひと しく尊重され擁護されるべきものである」ことを自覚し、「真実を正確に伝え、記事に採り上げられた人の名 誉やプライバシーをみだりに損なうような内容であってはならない」ことに留意して、行動していくことを、 ここに表明し、補助参加人(溝口敦)は、同様の指針に沿って、行動していくことを表明する。

2008年3月10日、溝口敦と山口組系山健組組長らは東京地裁で和解した。

・この和解を報じる共同通信の配信記事(08年3月10日)
・東京地裁での和解の概略




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ヤクザと抗争現場

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