溝口敦はノンフィクション中心のライターです。手がける分野は主に社会畑ですが、カバー範囲は広く、山口組、ヤクザ、暴力団、組織犯罪集団、外国人マフィア、人物論、新宗教、科学、食品の安全性、性、小説など多岐にわたっています。発表メディアは主に週刊誌、月刊誌、単行本です。


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溝口敦の斬り込み時評(日刊ゲンダイ、毎週月曜連載)

418)暴力団衰退の要因をのばなしにしてきた高山若頭(21年5月10日)

 4月末、警察庁がまとめた数字によると、昨年末の暴力団構成員と準構成員の人数は2万5900人。前年比2300人減で、16年連続の減少という。

 日本の芸能人の数はタレント名鑑登録数で約1万1000人、タレントデータバンク登録数で約2万4000人というから、ヤクザ、暴力団は今や芸能人並みに稀少になった。ネットでの話題性や情報発信力も芸能ネタに匹敵するかもしれない。

 分裂抗争渦中の山口組がらみでは、六代目山口組が8200人、神戸山口組が2500人、そこから分裂した絆会が490人という。分裂の前年、六代目山口組は構成員だけで1万300人(他にほぼ同数の純構成員)がいた。それがわずか6年で実質3分の1に縮小した。

 六代目山口組は激しい攻撃で神戸山口組を籠城状態に押し込んだ。組織の切り崩しでも神戸山口組からぼろぼろ人材を引き抜いた。それでいてなぜメンバー数が減るのか。

 組員減は山口組だけではない。住吉会も前年比300人減の4200人、稲川会も100人減の3300人と縮んでいる。ということは、縮小の原因は分裂抗争になく、暴力団を取り巻く取締法規の整備、警察の取締り体制強化、日本経済全体の景気下降、コロナ禍など、外部要因が大きいと思われる。

 しかしこれらの要因はコロナ禍を除けば、今に始まったことではない。失われた二十年、それに暴力団排除条例の全国実施などで誰もが予想したことだ。

 六代目山口組の髙山清司若頭は稀に見る凄腕の能吏とされる。しかしそういう髙山若頭が外部要因に目配りも対応もしなかった。山口組ばかりか暴力団世界全体にリーダーシップを振るうべき髙山若頭が無為無策だった。

 本来なら警察に捜査の手がかりを与える擬制血縁関係による組づくりや他団体との交際、組員住所録や機関紙の内部配布、物故した先輩首脳の墓参りなどは部外秘を徹底すべきだったし、組員の生活支援に注力して情報漏洩を防ぐ、法の下の平等を連呼して外部団体と連携を組むなど、総合的に組織防衛すべきだった。

 髙山若頭が血道を上げたのは神戸山口組叩きの暴力行使と攪乱情報の発信だけだった。

 大阪府警辺りの情報によれば、昨年11月時点の半グレ勢力は60グループ、4000人という。過小評価だろうが、半グレの匿名性に比べ暴力団の公然性がいかに組織の存続に不利か、明らかである。

 警察に蹂躙される暴力団に同情する者は皆無だろうが、悪党なら悪党らしく、しぶとく戦ってくれなければ外野は面白くない。



<斬り込み時評バックナンバー>

417)山口組の抗争とは別に新陣取り合戦が始まる(21年4月19日)
416)警察が色めき立った関西カチコミ事件のチンケ(21年4月5日)
415)六代目山口組高山若頭の「特定抗争」を仕掛ける辣腕(21年
414)弘道会系組長父子が襲撃された背景に何があるのか(21年3月8日)
413)山口組は弱体化したが弘道会は強化された警察の誤算(21年2月22日)
412)シノギが振るわない半グレで静かに進む地殻変動(21年2月8日)
411)親分子分という擬制血縁関係=ビジネスモデルの崩壊(2021年1月25日)
410)六代目山口組・高山若頭が説く「まじめなヤクザ道」(21年1月4日)

2010年7月7日、野球賭博摘発についての溝口敦のコメント
NHK WORLD ニュースライン(10年7月7日)

2008年7月14日、占い師・細木数子は講談社社長に6億円余の損害賠償を求める裁判について、東京地裁に訴えの取り下げ書を提出した。
講談社と溝口は細木の訴えの取り下げに同意し、次のような和解条項を示して細木と和解した。

講談社は、雑誌出版社として財団法人日本雑誌協会が定める雑誌編集倫理綱領(昭和38年10月16日制定、 平成9年6月18日改訂)に基づき、「雑誌編集者は、完全な言論の自由、表現の自由を有する。この自由は、 われわれの基本的権利として強く維持されなければならない」ことを基本とし、「社会の秩序や道徳を尊重す るとともに、暴力の賛美を否定する」との立場に立ちつつ、「個人及び団体の名誉は、他の基本的人権とひと しく尊重され擁護されるべきものである」ことを自覚し、「真実を正確に伝え、記事に採り上げられた人の名 誉やプライバシーをみだりに損なうような内容であってはならない」ことに留意して、行動していくことを、 ここに表明し、補助参加人(溝口敦)は、同様の指針に沿って、行動していくことを表明する。

2008年3月10日、溝口敦と山口組系山健組組長らは東京地裁で和解した。

・この和解を報じる共同通信の配信記事(08年3月10日)
・東京地裁での和解の概略




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