溝口敦はノンフィクション中心のライターです。手がける分野は主に社会畑ですが、カバー範囲は広く、山口組、ヤクザ、暴力団、組織犯罪集団、外国人マフィア、人物論、新宗教、科学、食品の安全性、性、小説など多岐にわたっています。発表メディアは主に週刊誌、月刊誌、単行本です。


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溝口敦の斬り込み時評(日刊ゲンダイ、毎週月曜連載)

400)分裂した新生山健組は一本どっこでいく覚悟(20年7月27日)

 五代目山健組の分裂が7月22日、正式決定した。

 分裂して神戸山口組(井上邦雄組長)を出ることになったのは反井上派で、山健組直系50人弱のうち24人。神戸山口組に居残る井上派も24人となり、ここに山健組は真っ二つに分裂した。

 ただし井上派24人のうち高齢のため引退が見込まれる者が10人前後いる模様だ。

 現在、殺人未遂で勾留中の中田浩司・山健組組長は分裂を最初に言い出した張本人だから、もちろん反井上派であり、組の名乗りは従来通り五代目山健組で通す。

 新生五代目山健組の路線は一本どっこである。敵は六代目山口組であり、六代目山口組には絶対復縁しない。月会費を減額することも公約に等しい。こうした方針については勾留中の中田組長にも再三弁護士を通じて確認を取って決めたことという。

 主たる参加者は物部浩久本部長(妹尾組組長)、水田忠好若頭補佐(村正会会長)、西川良男若頭補佐(健竜会会長)など、少壮気鋭の直参が少なくない。対して神戸山口組に居残る井上派は與則和若頭など古参の直参が多いようだ。

 山健組の関係者が言う。

「これまで井上邦雄組長がやってきたことは悪政そのもの。下からカネを吸い上げ、下の声を聞かない。首尾一貫した組運営ができない。

 もちろん井上派にも井上の悪政に気づいている者が多い。だけど保身と惰性で井上の悪政から離れられない。神戸山口組の直参たちもほとんど井上を見限っている。しかし、井上は諫めて悪政を止めるような人間じゃない。死んでも山健組利権を離さない。『分かった。後はあんたらに任す』といった潔さを絶対示せない男だ。

 それが分かっているから、最終的には彼らも神戸山口組を離脱するしかない」

 独立した五代目山健組に対しては、六代目山口組から早くもデマ情報が流れている。

「近々山健組はこっちに戻ってくる。そういう話ができている。だから、応援してやってくれよ」など、きわめてもっともらしいデマなのだ。

 しかし、五代目山健組の多くが今、性根に据えているのが去年10月、神戸の山健組事務所近くで、弘道会系組員が拳銃で山健組の部屋住み2人を射殺した事件である。

「部屋住みといえば自分の家族だ。それを殺されておめおめ名古屋(六代目山口組)に戻れるか。冗談じゃない。我々には骨がある。十分一本どっこでやっていける。今の情況はたしかに山健組に甘くないが、みんなこれから押し返していく気持ちを持っている」

 と、山健組関係者は語っている。



<斬り込み時評バックナンバー>

399)織田組長の絆会は解散を正式撤回、山健組に分裂話(20年7月13日)
398)一部のファンとの紐帯も切れた暴力団のやりっ放し(20年6月29日)
397)どこにでも出向く“今どきホステス”はもう止められない(20年6月15日)
396)カタギに女房を取られたヤクザが逆上という時代(20年6月1日)
395)コロナ禍で暴力団のシノギも壊滅(20年5月18日)
394)「暴力詐欺団」という新語も出てきたヤクザの凋落(20年4月27日)
393)二面性を失った日本の暴力団史はほぼ終わった(20年4月13日)
392)売春一般化で女依存型ヤクザも激減(20年3月30日)
391)コロナ禍で増えそうなヤクザの金銭トラブル殺人(20年3月16日)
390)覚醒剤流通網を叩き潰さない警察の不思議(20年3月2日)
389)家族のためにカチコミをやるヒットマンの哀れ(20年2月10日)
388)特定抗争指定以来、それぞれの組でそれぞれの動き(20年1月27日)
387)「特定抗争指定暴力団」で移動中の組長は殺される(20年1月6日)

2010年7月7日、野球賭博摘発についての溝口敦のコメント
NHK WORLD ニュースライン(10年7月7日)

2008年7月14日、占い師・細木数子は講談社社長に6億円余の損害賠償を求める裁判について、東京地裁に訴えの取り下げ書を提出した。
講談社と溝口は細木の訴えの取り下げに同意し、次のような和解条項を示して細木と和解した。

講談社は、雑誌出版社として財団法人日本雑誌協会が定める雑誌編集倫理綱領(昭和38年10月16日制定、 平成9年6月18日改訂)に基づき、「雑誌編集者は、完全な言論の自由、表現の自由を有する。この自由は、 われわれの基本的権利として強く維持されなければならない」ことを基本とし、「社会の秩序や道徳を尊重す るとともに、暴力の賛美を否定する」との立場に立ちつつ、「個人及び団体の名誉は、他の基本的人権とひと しく尊重され擁護されるべきものである」ことを自覚し、「真実を正確に伝え、記事に採り上げられた人の名 誉やプライバシーをみだりに損なうような内容であってはならない」ことに留意して、行動していくことを、 ここに表明し、補助参加人(溝口敦)は、同様の指針に沿って、行動していくことを表明する。

2008年3月10日、溝口敦と山口組系山健組組長らは東京地裁で和解した。

・この和解を報じる共同通信の配信記事(08年3月10日)
・東京地裁での和解の概略




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