溝口敦はノンフィクション中心のライターです。手がける分野は主に社会畑ですが、カバー範囲は広く、山口組、ヤクザ、暴力団、組織犯罪集団、外国人マフィア、人物論、新宗教、科学、食品の安全性、性、小説など多岐にわたっています。発表メディアは主に週刊誌、月刊誌、単行本です。


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溝口敦の斬り込み時評(日刊ゲンダイ、毎週月曜連載)

444)ガサ入れを食らった六代目山口組高山若頭のらしからぬ言動(22年7月4日)

 分裂抗争で指揮を執る六代目山口組・高山清司若頭に逆風が吹き始めている。

 6月28日、兵庫県警は50人体制で名古屋市の司忍組長の自宅と高山若頭の自宅を家宅捜索した。ふつう家宅捜索ぐらいだと事前に情報が漏れるものだが、今回ばかりは大挙動員にもかかわらず、厳重な箝口令が敷かれ、関係者にとっては寝耳に水のガサ入れとなった。

 この家宅捜索で何も出なくても、兵庫県警がピリピリしていることは分かる。今回の捜索は6月5日、神戸市北区鈴蘭台の神戸山口組・井上邦雄組長宅へのカチコミ(弘道会傘下野内組系組員が回転式拳銃1丁を持って出頭、銃刀法違反と建造物損壊の疑いで逮捕)にからんでのことだが、兵庫県警はこの少し前、兵庫県知事に厳重注意されている。

 県警詰め記者が語る。

「カチコミの現場は県警北署の管轄だけど、実行犯はその場で弾丸を2度も詰め替え、都合17発を発射している。交番が近くにあったにもかかわらず、要はヤクザに撃ちたいだけ撃たせた。当然、付近住民からは苦情が出、知事は直接、県警本部長にどうなってるんだと質した。

 これで県警はシュンとなり、井上組長宅には張り付け警備、付近のパトロールも倍増させた。同じことは長田区五番町の絆會・織田絆誠組長宅にも実施された。

 なにしろ織田組長宅には学校に通う子どもがいる。その家に車の追突では危なすぎる。今では門前警備を実施し、六代目山口組に勝手なマネはさせない構えです」

 こうしたことで県警に改めてカツが入った。

 六代目山口組は最近、神戸山口組・寺岡修若頭の愛人だかが経営する徳島の飲食店内を金属バットで破壊し、その前には井上邦雄組長の知人が営む飲食店内を打ち壊している。

 坊主に憎けりゃ袈裟まで憎いわけか、八つ当たりは極まっている。従来ヤクザの倫理というか美意識では、ヤクザがカタギもしくはカタギの持ち物に手を出すことは恥ずべきルール違反だった。ヤクザの家族や愛人も例外でなく、傷つけてはいけない。

 だが、高山若頭が事件後、実行犯である秋良連合会(秋良東力会長)系組員や倉本組(津田力組長)系組員を処分したかといえば黙認、まるでお咎めなしなのだ。

 高山若頭はヤクザのルール違反を奨励しているのか。格好悪いとされるカチコミも大いにやれというのか。読書人であり、常識も備えているはずの高山若頭にしては、解せない振る舞いである。

 すでに分裂抗争は誰が見ても六代目山口組が優勢だろう。にもかかわらず六代目側が、世間体はどうでもいい、やれることはお構いなくやれ、というのでは情けない。交際する他団体首脳の顰蹙も買おう。



<斬り込み時評バックナンバー>

443)軽乗用車で門扉にコツン、しかできない六代目山口組(22年6月21日)
442)にわかに注目され出した 神戸山口組・井上組長の進退(22年6月6日)
441)絆会の直参組長が白昼、銃撃された背景(22年5月23日)
440)構造不況なのに甘やかされ、今も甘えている暴力団幹部たち(22年5月9日)
439)「人の道」を外れた山健組は身内からも総スカン(22年4月18日)
438)厚労省と半グレ 危険ドラッグのいたちごっこ(22年4月4日)
437)マンションで大麻栽培、覚醒剤密造とはヤクザも落ちたもの(22年3月14日)
436)コロナもウクライナも詐欺のためのストリーは日進月歩(22年2月28日)
435)警察は組織を変えても暴力団と半グレに対応できない(22年2月14日)
434)一心会系三瓶組若頭射殺事件でささやかれていること(22年1月31日)
433)山口組の抗争がなかなか決着しない複雑な事情(22年1月17日)
432)ヒットマンの養子縁組で見えてきた射殺事件の真相(21年12月20日)

2010年7月7日、野球賭博摘発についての溝口敦のコメント
NHK WORLD ニュースライン(10年7月7日)

2008年7月14日、占い師・細木数子は講談社社長に6億円余の損害賠償を求める裁判について、東京地裁に訴えの取り下げ書を提出した。
講談社と溝口は細木の訴えの取り下げに同意し、次のような和解条項を示して細木と和解した。

講談社は、雑誌出版社として財団法人日本雑誌協会が定める雑誌編集倫理綱領(昭和38年10月16日制定、 平成9年6月18日改訂)に基づき、「雑誌編集者は、完全な言論の自由、表現の自由を有する。この自由は、 われわれの基本的権利として強く維持されなければならない」ことを基本とし、「社会の秩序や道徳を尊重す るとともに、暴力の賛美を否定する」との立場に立ちつつ、「個人及び団体の名誉は、他の基本的人権とひと しく尊重され擁護されるべきものである」ことを自覚し、「真実を正確に伝え、記事に採り上げられた人の名 誉やプライバシーをみだりに損なうような内容であってはならない」ことに留意して、行動していくことを、 ここに表明し、補助参加人(溝口敦)は、同様の指針に沿って、行動していくことを表明する。

2008年3月10日、溝口敦と山口組系山健組組長らは東京地裁で和解した。

・この和解を報じる共同通信の配信記事(08年3月10日)
・東京地裁での和解の概略




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