溝口敦はノンフィクション中心のライターです。手がける分野は主に社会畑ですが、カバー範囲は広く、山口組、ヤクザ、暴力団、組織犯罪集団、外国人マフィア、人物論、新宗教、科学、食品の安全性、性、小説など多岐にわたっています。発表メディアは主に週刊誌、月刊誌、単行本です。


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溝口敦の斬り込み時評(日刊ゲンダイ、毎週月曜連載)

383)髙山若頭が出てきても山口組再統一はほぼ不可能(19年10月28日)

 10月18日、六代目山口組の高山清司若頭が東京・府中刑務所を出所、名古屋で司忍組長に帰任の挨拶をした。

 世間の興味は高山若頭が3派に分裂した山口組問題にどう決着をつけるかだろう。彼の強圧的な組運営が山口組を分裂させたと見られる以上、彼が今後山口組の七代目組長に就く、就かないに関係なく、分裂に締めくくりをつけねばならないのは当然だろう。

 しかし、暴力を強め、抗争を激化することで神戸山口組と任侠山口組とを屈服させ、再統一を図ることはほぼ不可能と見られる。弘道会が実行した10日の山健組組員2人射殺事件では早速、双方の組施設約20箇所が利用禁止になった。

 抗争を激化させれば、新たに暴対法上の「特定抗争指定暴力団」に指定され、組事務所などが利用できなくなるばかりか、組員が屯することまで不可能になる。組は立ち往生して、生きながら死んでしまう。

 かといって3派間の争いの調停に立つような勢力は見当たらない。山口組対一和会抗争では終局期に稲川会と会津小鉄会が仲裁役を買って出たが、今、六代目山口組は他団体の後見をやっているぐらいで、仲裁、調停に立てるような団体はほぼない。わずかに3派に対して局外中立的な道仁会(福岡県久留米市)小林哲治会長が可能性を残す程度だろう。

 3派による話し合い解決、山口組再統合はさらに難しい。まず高山若頭はもちろん、神戸山口組・井上邦雄組長も、相手を不倶戴天の敵として許さず、向き合って座ることさえ拒否しよう。

 但し山健組・中田浩司組長は前回お伝えした通り、弘道会・中野寿城若頭と私的なパイプを持つ。山健組を井上組長派と中田組長派に強引に引き裂き、中田組長派を六代目山口組に取り込む作戦はあり得るが、この場合、伝統ある山健組が名古屋・弘道会に屈服したことになり、今以上に蜂の巣をつつく騒ぎになる。

 他方、任侠山口組は六代目山口組がヤクザ改革の意志と構想を示さないかぎり、話し合いに応じないと組織決定している。上納金の取り立てで上層部だけ左うちわ。下層は食うや食わずという現状はヤクザの本義ではない。絶対改めるべきという主張だが、当然、司組長も高山若頭も旧型の頭だから受け入れまい。両団体の路線はまず交わらず、任侠は非暴力団路線をさらに明確化するかもしれない。



<斬り込み時評バックナンバー>

382)政界は山口組の再統一を望んでいるのか(19年10月7日)
381)暴力団がヒットマンを出頭させない理由(19年9月9日)
380)五輪まで堅気を泣かせる山口組3派の睨み合い(19年8月26日)
379)権力にへつらうお笑いなど見たくもない(19年8月5日)
378)スクープ写真を金で買うのは悪なのか(19年7月22日)
377)反社にも暴力団同様の判断をした吉本の新対応(19年7月1日)
376)特殊詐欺を善行と考える若者たち(19年6月17日)
375)特殊詐欺の半グレを組員にしない抜け穴(19年6月3日)
374)米国の華為潰し、日本も同じ目に遭っている(19年5月20日)
373)任侠山口組で織田代表と親子盃、舎弟盃(19年4月22日)
372)忖度させた安倍首相も麻生大臣も同罪だ(19年4月8日)
371)アポ電強盗にはタンス預金は埋蔵金(19年3月25日)
370)「アポ電強盗」は「オレオレ詐欺」の兼業なのか(19年3月11日)
369)取締りを強化してもオレオレ詐欺が減らない理由(19年2月25日) 
368)クレジットカードを持てない人はこれだけいる(19年2月4日)
367)早くも再逮捕説が流れている高山若頭(19年1月21日)

2010年7月7日、野球賭博摘発についての溝口敦のコメント
NHK WORLD ニュースライン(10年7月7日)

2008年7月14日、占い師・細木数子は講談社社長に6億円余の損害賠償を求める裁判について、東京地裁に訴えの取り下げ書を提出した。
講談社と溝口は細木の訴えの取り下げに同意し、次のような和解条項を示して細木と和解した。

講談社は、雑誌出版社として財団法人日本雑誌協会が定める雑誌編集倫理綱領(昭和38年10月16日制定、 平成9年6月18日改訂)に基づき、「雑誌編集者は、完全な言論の自由、表現の自由を有する。この自由は、 われわれの基本的権利として強く維持されなければならない」ことを基本とし、「社会の秩序や道徳を尊重す るとともに、暴力の賛美を否定する」との立場に立ちつつ、「個人及び団体の名誉は、他の基本的人権とひと しく尊重され擁護されるべきものである」ことを自覚し、「真実を正確に伝え、記事に採り上げられた人の名 誉やプライバシーをみだりに損なうような内容であってはならない」ことに留意して、行動していくことを、 ここに表明し、補助参加人(溝口敦)は、同様の指針に沿って、行動していくことを表明する。

2008年3月10日、溝口敦と山口組系山健組組長らは東京地裁で和解した。

・この和解を報じる共同通信の配信記事(08年3月10日)
・東京地裁での和解の概略




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